スコアリングモデルの継続的改善
- 「企業情報・格付情報照会サービス」では、経済状況によって変化する企業倒産の動向を反映させるため、格付判定の心臓部である信用スコアリングモデルの見直しを毎年行っております。
- 2025年10月17日(金)を以って、以下の通り、スコアリングモデルを新しいモデル(2025年モデル)に移行します。
1.新モデルへの移行スケジュール
システムメンテナンスによるサービス提供の休止 | 2025年10月16日(木) 19:00 から 翌17日 9:00まで |
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新モデルによるサービスの再開 | 2025年10月17日(金) 9:00から |
2.現行モデルの評価(下表参照)
- 「企業情報・格付情報照会サービス」で格付可能な企業(金融業や行政機関などを除く企業)の直近12ヶ月の倒産企業数と倒産率は上記の表のとおりとなっています。件数・倒産率ともに昨年同時期を上回っています。
- また、件数・倒産率ともに2022年以降上昇傾向となり、2025年も昨年と同様もしくはやや増加とみています。
3.全国倒産状況
東京商工リサーチ(TSR)の倒産情報によると、2023年以降、コロナ関連倒産は前年同月比で約3割減のペースで推移しており、これまで全体としては減少傾向が続いていました。しかし、直近の2025年9月には4ヶ月ぶりに前年同月比を上回る件数となり、今後も減少傾向が続くかどうかは不透明な状況となっています。
倒産企業の多くは業績回復が遅れ、再建の見通しが立たないことが主な要因となっています。また、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は全体の約2割を占めています。
一方、全体の倒産件数は緩やかな増加傾向にあります。特に2023年3月以降は、月次の倒産件数が800件を超える月が続いており、年間平均でも800件前後で推移しています。今後も中小・零細企業を中心に倒産件数の増加が続く見通しです。人手不足や人件費の高騰、円安、関税・金利の上昇など複数の外部リスクが重なり、特に年末の資金需要期には倒産件数がさらに増加する可能性があります。
4.新モデル(2025年モデル)の特徴および改善点
上記の状況を踏まえ、以下の通りスコアリングモデルの変更を行いました。
- アフターコロナの状況下では、宿泊・旅館業や旅客運送業など、インバウンド需要の回復といった好材料も見られます。しかし、倒産件数は依然として月800件を超える高水準で推移しています。ゼロゼロ融資の返済開始に加え、エネルギー価格や物価の上昇、人件費の高騰などが企業経営の重荷となり、事業継続を断念する企業が増加しています。こうした状況を踏まえ、企業の安全性(支払能力や資金繰り)を重視したモデルを構築しました。
- 倒産全体をみると、2024年は年間10,816件と増加しており、2025年も昨年と同様もしくはやや増加で推移するものと予測して格付判定の基準を設定しました。(法人倒産のみ、個人事業主の倒産は除く)
- 新モデルでは、現行モデルと比較して52.9%の企業に変化があります(42.5%が1段階の変化)。その比較については、下記の通りです。
- 格付が改善する企業・・・26.0%(うち1ランク改善:20.5%)
- 格付に変化ない企業・・・47.1%
- 格付が悪化する企業・・・26.9%(うち1ランク悪化:22.1%)