与信コラム

サプライチェーンリスク管理とは?
リスクの種類と軽減策をわかりやすく解説

与信コラム09
       
       
       

はじめに

現代のグローバル化や技術革新の進展に伴い、サプライチェーンリスク管理の重要性はかつてないほど高まっています。自然災害やサイバー攻撃が発生した場合、供給網の寸断や取引先の倒産といったリスクが、企業の事業継続を脅かす可能性があります。


本コラムでは、サプライチェーンリスクの重要性を踏まえ、その種類や軽減方法を詳しく解説する内容となっています。そして、サプライチェーン全体の透明性を高め、自社の競争力を維持するためのヒントとなれば幸いです。


ぜひ最後までお読みいただき、事業運営の安定性向上にお役立てください。


サプライチェーンリスク管理の重要性

サプライチェーンリスク管理の重要性

サプライチェーンは、原材料の調達から生産、流通、販売まで、製品が顧客に届くまでの流れを指します。この仕組みは、自動車や電子部品、食品など、多くの業界で構築されています。


企業が安定した事業運営を維持するためには、サプライチェーンリスク管理が欠かせません。例えば、次のようなトラブルが発生すると、供給網全体に深刻な影響を与える可能性があります


  • 自然災害による物流停止
  • 原材料の供給不足
  • サイバー攻撃
  • サプライヤーの倒産
  • 規制変更や貿易摩擦
  • 内部不正
  • 情報通信技術(ICT)システム障害

近年、情報セキュリティをめぐるリスクが拡大しており、中でもサプライチェーンを狙った攻撃は大きな脅威とされています。(情報セキュリティ10大脅威 2025

サプライチェーン攻撃や内部不正が発生すると、企業は信用の低下や経済的損失といった深刻な影響を受ける恐れがあります。


そのため、自社を取り巻くサプライチェーン全体の透明性を高め、サプライヤーとの連携を強化し、セキュリティ基準を統一するなどの包括的な管理体制を整えることが重要です。


サプライチェーンリスクの種類

サプライチェーンリスクの種類

サプライチェーンリスクには、以下のようなリスクが存在します。


  • 物理的なサプライチェーンリスク
  • サイバーサプライチェーンリスク

それぞれのリスクの特性を理解し、対処方法を把握しましょう。


物理的なサプライチェーンリスク

「物理的なサプライチェーンリスク」は、「自然災害や物流の停滞、設備の故障など、物理的な要因によって引き起こされるもの」をいいます。

具体例とその対策例は以下の通りです。


具体例 ① 地震や台風などの災害により、物流が停止する
対策例 供給元を異なる地域や国に分散し、地理的リスクを軽減する

具体例 ② 主要なインフラ設備が故障し、原材料の供給が滞る
対策例 複数の供給元と契約を結び、特定の供給元への依存を避ける

具体例 ③ 原材料価格の急激な変動
対策例 長期契約や価格ヘッジを利用して、原材料価格の変動を抑える

さらに、「取引先の倒産」も「物理的なサプライチェーンリスク」のひとつとして挙げられます。災害や設備の故障が原因で、取引先の経営が悪化し、最終的に倒産に至るケースなどが考えられるでしょう。そうした「取引先の物理的なサプライチェーンリスク」を回避するためには、取引先の与信管理を行うことも重要となります。


サイバーサプライチェーンリスク

デジタル化が進んでいる現代では、サイバー攻撃によるリスクも増加しています。

具体例と対策は以下の通りです。


具体例 ① 重要なデータがハッキングされ、業務が停止する
対策例 システム全体で侵入検知システムを導入し、リアルタイムで不正アクセスを検知する仕組みを構築する

具体例 ② サプライヤーのシステムが攻撃され、取引先の情報が漏洩する
対策例 サプライヤー全体で統一されたセキュリティ基準を設定し、定期的に監査を実施する

具体例 ③ クラウドサービス提供元がサイバー攻撃を受け、業務が中断する
対策例 クラウドプロバイダーのセキュリティ基準を事前に確認し、リスクを評価したうえで契約する

サイバーリスクに対応するためには、その予防措置だけでなく、リスク発生時の迅速な復旧計画も不可欠です。そのため、バックアップデータの更新やシステムリカバリテストの定期的な実施が求められます。


サプライチェーンリスクを軽減するには

サプライチェーンリスクの軽減

こうしたサプライチェーンリスクの軽減には、以下の対策を基本的・継続的に講じる必要があります。


  • セキュリティ対策の徹底
  • サプライチェーンマネジメント(SCM)の導入
  • 事業継続計画書(BCP)の策定
  • 関連会社の与信管理

次は、それぞれの対策について、具体的な内容を考えてみましょう。


セキュリティ対策の徹底

サイバーリスクを効果的に軽減するためには、情報セキュリティを強化する取り組みが欠かせません。特に、サプライチェーン全体の安全性を確保するためには、委託先を選定する際に、委託先がどのようなセキュリティ対策を講じているかを十分に確認することが重要です。


委託会社に依頼・確認すべきポイントは、以下の通りです。


  • データ暗号化の実施
  • 定期的なセキュリティチェック
  • サプライヤーに対するセキュリティ教育

これらの対策を委託先に求めることで、サプライチェーン全体のセキュリティ水準を高め、企業全体のリスクを低減することができます。


サプライチェーンマネジメント(SCM)システムの導入

サプライチェーンマネジメント(以下、SCM)システムを導入することで、サプライチェーン全体を可視化し、問題が発生した際の迅速な対応が可能になります。SCMシステムは、サプライヤー間の連携を強化し、リアルタイムで情報を共有するための強力なツールです。また、需要の季節変動や市場動向の変化に柔軟に対応できるようになり、在庫不足や過剰在庫の防止も可能になります。


加えて、現在ではさまざまなツールが開発・提供されており、サプライチェーン全体でのデータ活用も進んでいます。

例えば、AIを活用した消費者需要の予測に基づき、生産や配送計画を最適化する企業が増えています。また、輸送ルートの自動提案機能により、コスト削減だけでなくCO2排出量の削減にも貢献し、環境配慮やSDGsの施策にもつながっていきます。


事業継続計画書(BCP)の策定

事業継続計画(以下、BCP)は、予測不可能な事態においても事業を継続できるようにするための計画であり、以下のポイントを決めておく必要があります。


  • 代替供給ルートの設定
  • 緊急時の連絡体制の整備
  • 重要業務の優先順位の明確化
  • 緊急資材や設備の備蓄
  • 復旧手順の詳細化

BCPの実効性を高めるには、定期的な訓練やシミュレーションを実施し、実際の緊急時に計画が適切に機能するかを確認することが重要です。また、地域特有のリスク(自然災害など)や業界固有の課題(原材料不足など)を考慮して計画を策定すれば、リスクに対応する能力が大幅に向上します。


関連会社の与信管理

関連会社の与信管理は、サプライチェーン全体の安定性を維持するために欠かせません。特に、取引先企業が支払い遅延や倒産に陥った場合、その影響が供給網全体に波及し、事業活動に深刻な支障をきたす可能性があります。


例えば、主要な供給元が倒産した場合、原材料の供給が止まり、生産が中断するリスクが生じます。こうしたリスクを回避するためにも、取引先の財務状況や信用情報を定期的にモニタリングし、問題を早期に発見する仕組みとしての与信管理が必要です。与信管理を通じて得られた情報を活用し、取引条件や支払い条件を調整することで、リスクの軽減が期待できます。


サプライチェーンリスク管理には与信管理が重要

サプライチェーンリスク管理には与信管理

サプライチェーンの倒産リスク軽減にはその与信管理が必要となりますが、与信管理を効率的に行うには、与信管理サービス/システムの導入がおすすめです。与信管理サービス/システムは、与信管理の経験が浅い方でも、簡単かつ確実に与信チェックができます。取引先の財務状況などから、支払い遅延や倒産などのリスクを早期に察知し、事業への影響を最小限に抑えることができます。


例えば、AGS株式会社の与信管理サービス「ニューロウォッチャー」では、信用スコアリングや継続管理機能を通じて、取引先のリスクを効率的に管理することが可能です。取引先の信用リスクを9段階で評価し、格付理由を明確に示す機能を提供しています。


製造業で、取引先の黒字倒産をきっかけに「ニューロウォッチャー」を導入した事例があります。シンプルで分かりやすい格付評価に加えて、自社内で懸念として挙がっていた企業と、「ニューロウォッチャー」が示す格付の内容が一致したことが決め手でした。


また、利用料金が、格付1件あたり1,200円とリーズナブルであること、さらに、入会金や基本料金等の導入費用が必要ないため導入しやすかったことが、採用のポイントとして挙がっています。



与信管理サービスの導入には、管理・運用のしやすさと利便性の高さが重要となります。

「ニューロウォッチャー」には、先述のような導入と運用の手軽さに加え、取引先から入手した財務情報を入力して格付ができる「決算書エントリー」や、コンプライアンスチェック機能など便利な機能が多数搭載されています。


まとめ|与信管理もサプライチェーン管理のひとつ

まとめ|サプライチェーンリスク|与信コラム

サプライチェーンリスク管理は、企業の事業運営において欠かせない要素です。物理的リスクやサイバーリスクへの対策に加えて、関連会社の与信管理が全体的なリスク軽減の鍵を握ります。これらの取り組みは、事業の安定性を保つための基盤となります。


特に、AGS株式会社が提供する与信管理サービス「ニューロウォッチャー」は、与信スコアリングやモニタリングを効率的に行えるツールです。取引先の信用リスクを早期に発見し、適切な対応を迅速に講じることで、サプライチェーン全体の安定性を高められます。


「ニューロウォッチャー」を活用することで、リスクを最小限に抑えつつ、迅速な意思決定の実現が可能です。入会金や月々の基本料金も無く、初期費用0円での導入可能な点やコンプライアンスチェック機能も活用し、企業の競争力を維持し、長期的な成長を目指すための一助として、「ニューロウォッチャー」の導入をご検討ください。


サンプル申し込み・お申し込み
サンプル申し込みはニューロウォッチャーで出力可能なPDFファイル
「総合判定表(信用格付・企業情報・財務情報)」のサンプル企業のダウンロードURLをご案内します。
また、こちらからニューロウォッチャーのご利用申し込みもできます。