企業調査の基本と実践法|与信管理との違いも解説!

はじめに
企業調査は、企業間取引のリスク管理に欠かせないプロセスです。
特に、取引先の業績をはじめ取引銀行の変更等の把握は、倒産などの不測の事態を防止する情報につながります。
本記事では、企業調査の具体的な方法や、有効に活用するためのポイントを解説します。
また、弊社が提供する『ニューロウォッチャー』をはじめ、代表的な企業調査会社のツールや活用法も紹介しています。
ご紹介した内容が、貴社の取引の安全性を高める一助になれば幸いです。
企業調査とは
企業調査とは、取引先企業の、特に資金力における信用度合いや経営リスクを取引前に評価するプロセスです。新規取引や大規模契約を検討する際に、不可欠な手続きと言えます。
企業調査の主な目的
1. リスク回避 : 倒産リスクや詐欺リスクを未然に防ぐ
2. 取引の安定化: 信用度の高いパートナー選定
3. 競争力向上 : 競合企業の動向を把握し、競争力強化を図る
例えば、財務データの分析で赤字が続いていると判明した場合、その企業は事業継続に影響を及ぼすリスクの度合いが高いと判断できます。また、経営者の過去のトラブルを把握した上でその改善の見込みがなければ、潜在的なリスクがあると判断し、取引前にリスク回避することも可能です。
特に中小企業にとっては、企業調査の情報を活用し、取引の安全性を確保することが重要です。企業調査は、自社の経営リスクの最小化や事業の成長を促進する有効な手段として、多くの企業で実施されています。
企業調査のやり方とは? 4つの調査方法

企業調査には、主に以下の4つの方法があります。
1. 内部調査: 自社独自の方法で調査
2. 外部調査: 公開情報や市場データを基に分析
3. 直接調査: 対象企業を訪問し、現場の状況や経営者の意図を確認
4. 依頼調査: 専門の調査会社やツールを利用して詳細な情報を収集
それぞれの調査方法の特性を理解し、取引規模・条件などに応じ調査方法を選択し、 且つ、一つの方法でなく複数の方法で得られた結果を比較して取引判断することが重要となります。
以下では、4つの方法について具体的に解説します。
1. 内部調査
内部調査は、自社独自で収集した情報やリソースを活用して調査を行います。さらに対象企業との過去の取引履歴や取引条件などを考慮して評価を行います。
内部調査の特徴は、以下の通りです。
作業内容 |
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メリット |
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デメリット |
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内部調査は、初期スクリーニングや、小規模な取引先の評価に適した方法と言われています。
2. 外部調査
外部調査は、新聞記事、業界レポート、登記簿謄本、取引先のコンテンツなどを利用して情報を収集します。
対象企業の市場での評判や業界内での立ち位置を把握する参考になります。
外部調査の特徴は、以下の通りです。
作業内容 |
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メリット |
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デメリット |
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外部調査は、一次情報を集める際に最適で、競争環境を把握するためにも重要です。
3. 直接調査
直接調査は、対象企業を訪問して情報を収集する方法です。経営者や従業員と直接対話し、現場の状況を直接視察できるため、他の方法では得られない洞察が得られます。
ただし、対象企業の中には、明らかに「調査」の目的で訪問されると心証を悪くしてしまい、取引が破談となってしまうリスクがあるため、訪問する際には十分注意する必要があります。
直接調査の特徴は、以下の通りです。
作業内容 |
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メリット |
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デメリット |
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大規模取引や戦略的提携を検討する際には、非常に有効な手段です。
4. 依頼調査
依頼調査は、専門の調査会社やツールを利用する方法です。企業調査の専門家が詳細な調査を行うため、信頼性の高い情報を得ることが出来ます。
ニューロウォッチャーは長年の融資審査ノウハウを活かした格付や、調査会社の企業情報・財務情報を取得できるツールです。
~「ニューロウォッチャー」の特徴 ~
作業内容 |
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メリット |
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新規取引先の信用度を迅速に把握したい場合や、リスクの高い取引先への対応策を検討する際に役立ちます。
ニューロウォッチャーは調査会社と連携しているため、複雑な調査に対しても安心して利用可能です。
企業調査で注目すべきポイント

企業調査を行う際、以下のポイントに注目すれば、より的確な判断が可能となります。
項目 | チェックポイント |
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財務状況 | 流動資産、営業利益、負債、キャッシュの推移を観察し資金力を確認する |
経営者情報 | 経営者の経歴、評判、過去のトラブルの有無を確認 |
信用履歴 | 支払いや納品遅延、過去に取引停止の記録がないか調査 |
取引先情報 | 同業他社からの評判や業界内での市場シェア、その拡大・衰退の状況を評価 |
上記の情報を総合的に評価すれば、取引先の信頼性や成長性を適切に判断可能です。
企業調査専門の代表的な調査会社

企業調査を効率的に行うためには、専門の調査会社を活用するのが効果的です。
以下に、日本で代表的な調査会社を2つご紹介します。
1. 帝国データバンク
日本最大級の企業情報データベースを有する信用調査会社です。国内の企業に関する詳細な情報を収集し、信頼性の高いレポートを提供しています。
特に企業信用調査業界での市場シェアが高く、倒産リスクの予測の情報も提供しています。
特徴
- 全国規模のネットワークを活用し、迅速で正確な情報を提供
- 業界動向や市場分析に基づいた多角的なレポートを作成
帝国データバンクを利用すれば、取引前に相手企業の財務状況や経営状態を把握できます。安全な契約を結ぶための判断材料として非常に有益です。
ただし、利用するには直接帝国データバンクと契約する必要があります。
2. 東京商工リサーチ
東京商工リサーチは、全国規模の企業情報データベースを有する信用調査会社で、特に地域密着型の調査を得意とする信用調査会社です。企業規模や業界を問わず、幅広い情報をカバーしています。ニューロウォッチャーの企業情報や財務情報は、東京商工リサーチのデータです。
特徴
- 地域特化型の調査レポートを提供し、詳細な情報が得られる
- 大規模な調査から小規模な取引先の調査まで柔軟に対応可能
企業の信頼性を多角的に評価でき、取引先との関係を円滑に進められます。特に中小企業のリスク管理や市場調査に強みを持っています。
企業調査と与信管理の違いは?

企業調査と与信管理は、目的や実施タイミングが異なり、主な違いは以下の通りです。
企業調査 | 取引前に行うプロセスで、相手企業の信用力やリスクを評価 ⇒ 新規取引先との契約時に、特に重要な手続きです |
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与信管理 | 取引前後にリスク管理を行い、新規取引後に取引先の信用状況を監視 ⇒ 既存の取引先の状況変化に対応し、リスクを早期に察知する役割です |
新規の取引を開始する際には、企業調査で相手企業の財務状況や経営の安定性を確認します。一方、取引後には与信管理を通じて、取引先が抱える新たなリスクや経営不振の兆候を監視することが重要です。
企業調査と継続的な与信管理の両方を実施することにより、契約時から取引継続後まで一貫したリスク管理が可能です。
両者を適切に実施すれば、取引の安全性を向上させるだけでなく、潜在的な損失を未然に防げます。
まとめ

企業調査はリスクを抑え、安全な取引を実現するために欠かせないプロセスです。信頼性の高い取引先を選び、長期的に良好な関係を築くためにも重要な役割を果たします。
また、与信管理を併せて行うと、取引後のリスクも継続的に監視可能です。
特に「ニューロウォッチャー」のようなツールを活用すれば、調査の効率化と精度向上が期待できます。
新たな取引を始める際には、まず適切な方法を用いた企業調査を実施しましょう。対象企業の詳細な情報を把握した上での判断が、ビジネスの成功を後押しします。