与信コラム

与信管理の基礎:企業リスクを最小化するには

与信コラム01


はじめに

与信管理は、経営における重要なリスク管理のひとつです。取引先の信用度を適切に評価・管理することは、企業の健全な成長には欠かせません。

この記事では、与信管理の基本的な概念、目的、具体的なステップ、および効率的な実施方法について詳しく説明します。さらに、与信管理サービスである「ニューロウォッチャー」についても紹介します。


与信とは何か?

与信とは、取引先に対して信用を与えることを意味する金融・経済用語。取引先の信用度や適正な取引額を判断する過程を指します。与信は、企業間取引・銀行融資・証券会社の信用取引・クレジットカード発行など、さまざまな場面で活用されています。

企業間取引においては、先に商品やサービスを提供し、後に代金を請求する掛売方式が広く採用されています。しかしながら、取引ごとに請求を行えば入金管理が煩雑になり、事務作業の負担が大きくなってしまいます。そのため、企業では与信額を設定し、契約に基づいた月ごとの締日払いを採用しています。

もちろん取引していると、相手が倒産したり、法的トラブルが発生したりし、代金を回収できないリスクが生じる可能性もあります。そのため、取引の開始前には、取引先の支払い能力や経営状態を慎重に評価し、どの程度信用を与えるかどうかの判断が不可欠です。


与信管理とは?その概要

与信管理とは、取引先の信用度を継続的に注視し、不良債権の発生を最小限に抑える手法です。

また、与信管理は単なるリスク回避にとどまらず、企業の経営戦略の一環としても非常に重要です。信用度の高い取引先との関係を強化し、安定した収益基盤を築き、企業の長期的な成長を促進する役割も果たします。


与信管理の目的と重要性

与信管理には、以下の3つの重要な目的があります。


1. 連鎖倒産の防止

取引先が倒産すると、自社も売掛金の回収不能による資金繰りの悪化などで倒産のリスクを抱える可能性があります。特に、特定の取引先への依存度が高い場合にはリスク度合いが高くなります。

与信管理を実施することにより、取引先とのリスクを事前に把握し、依存度を低減させ、連鎖倒産を防止します。


2. 資金繰りの安定化

適切な与信管理は、キャッシュフローを安定させ、安定した資金繰りの持続を実現してくれます。取引先の支払い能力や経営状態を的確に評価し、信用力の低い取引先には取引条件の見直しや撤退も視野に検討しておけば、予期せぬ支払い遅延や不良債権の発生を未然に防止することができます。


3. 倒産損失の回避

取引先の支払い能力や経営状態をモニタリングしていれば、貸倒損失を未然に防止可能です。適切な与信管理は不良債権の発生を抑制し、自社の財務健全性の維持・成長に貢献します。


上記の目的を理解すれば、与信管理の重要性がより明確になります。従業員にもその重要性を十分に理解してもらうことで、責任感を持った業務遂行が期待できるでしょう。


どのように与信管理を実施するか?

与信管理は、取引先の信用リスクを適切に評価し管理する重要なプロセスです。

ここでは、その具体的な手順を解説します。


与信管理の手順

与信承認

商談~取引開始までの具体的なステップは、以下の通りです。

  • 情報収集・分析
    取引先の財務状況や経営状態を詳細に調査します。
    財務諸表の分析・信用調査機関からの情報取得・取引先の市場ポジションなどを評価します。
  • 信用力の格付け(スコアリング)
    収集したデータをもとに、取引先の信用力を評価。業界での評判や、過去の取引実績なども考慮に入れます。
  • 与信限度額の決定
    評価結果に基づき、取引先に対する与信限度額を設定。限度額は、取引先の信用度と自社の営業政策で決定します。
    ただし、自社のリスク許容度も考慮して与信限度額を決定することも必要です。
  • 取引条件の交渉
    与信限度額をもとに、取引条件を交渉します。
    この段階では、取引先との信頼関係を保ちながら、リスクを最小限に抑えることが特に重要です。

与信限度額設定後の管理

与信限度額設定を実施して取引を開始した後の具体的なステップは、以下の通りです。

  • 債権・与信限度額のチェック
    定期的に取引先の信用状況を再確認します。取引先の経営状態や市場状況の変化に応じて、確認することが重要です。
  • 定期的な見直し
    取引先の信用状況に変化があった場合、与信限度額や取引条件を再評価し、その見直しを実施します。
    例えば、取引先の財務状況や経営が悪化した際は、与信限度額の引き下げや撤退の検討が必要になることがあります。

与信調査の手法

与信管理の効果的な実施には、与信の調査が不可欠です。

ここでは、主要な4つの調査方法を解説します。


内部調査

社内のデータや過去の取引履歴をもとに、取引先の信用力を評価する調査方法です。主に既存取引先を対象とし、過去の実績や支払い履歴を精査します。迅速かつ低コストで実施できる利点がありますが、得られる情報に限りがあります。新規取引先の場合は、与信ツールの利用など他の調査方法と組み合わせることで、より確実な評価が可能となります。


外部調査

官公庁が公開する登記簿情報を活用すれば、不動産所有状況や抵当権の有無、過去の滞納履歴などを確認できます。

また、企業のウェブサイトでも資本金や役員構成の変化、求人情報などの情報も入手可能です。ただし、口コミやSNSなどの情報は、信頼性に欠ける場合があるため、慎重に判断しましょう。


依頼調査

専門の調査機関に委託し、取引先の詳細な財務情報や市場評価を調査する手法です。リスクの高い取引先や重要な取引に対して特に有効ですが、コストがかかるのが難点です。大口取引や長期的な取引を開始する際には、この方法を用いて慎重に判断することが望ましいでしょう。


直接調査

取引先を実際に訪問し、現地の状況を直接確認する方法です。書類上では把握しきれない"実態"をみることができ、新規取引先や重要な取引を開始する際に特に効果を発揮します。

また、取引先の経営者や従業員との対話を通じて、企業文化や経営方針をより深く理解することも可能です。


こうした調査方法を適切に組み合わせることで、より精度の高い与信評価になります。

取引の重要性や規模を考慮しつつ、最適な調査方法を選択しましょう。


効果的な与信管理のポイント

ここでは、与信管理を効果的に行うための重要なポイントを紹介します。


多角的な視点での評価

与信管理を行う際には、さまざまな角度から取引先を評価することが不可欠です。長期にわたるビジネスパートナーであっても、財務状況の変化や市場環境の変動によってリスクが高まる可能性があります。また、私情に左右されず、客観的なデータや分析に基づいて与信判断を行うことも求められます。

多角的な視点を持つことは、見過ごしがちなリスクを早期に発見し、リスクを最小限に抑えることを可能にします。


調査範囲・調査項目の設定

与信調査を行う際には、調査の範囲と項目を明確に設定することが不可欠です。すべての取引先に同じレベルの調査を行うのではなく、リスクに応じて調査の深さを調整する必要があります。例えば、過去に信用問題があった取引先や新規取引先には、財務諸表の詳細な分析や企業情報の履歴変化の分析など、より深い調査が求められます。

また、取引額と調査コストのバランスを考慮し、過剰な調査の回避も重要です。調査の目的は、取引先の信用リスクの正確な評価が大切ですが、無駄なコストを避けて効率的な与信管理を実現することが求められます。


営業現場との情報連携

与信管理は、管理部門だけでなく営業現場との密接な連携が重要です。営業担当者は日常的に取引先と接しており、現場から得られる情報は信用評価の精度向上に役立ちます。例えば、営業担当者が取引先の従業員の態度や社内の雰囲気に違和感を感じた場合、それは経営状況の悪化や内部問題発生の兆候かもしれません。このように現場の情報を与信管理に取り入れれば、リスクを未然に防ぐことが可能です。

管理部門と営業部門が定期的に取引先の情報を共有し、取引先に関する最新情報を把握することで、効果的な与信管理が実現します。連携体制を構築することで、取引先のリスクを早期に察知し、適切な対応が取れるようになるでしょう。


海外企業の有無について情報確認

グローバル化が進む現代では、海外企業との取引が増えています。しかし、国内企業と比べて海外企業の情報収集は困難です。特に、文化や法律が異なる国では、企業情報の信頼性を確保するために外部の専門機関を活用することが一般的です。

海外企業との取引を検討する際は、事前に情報取得の方法を確認し、必要に応じて外部調査を行うことが不可欠です。

また、現地の法規制や文化を理解し、リスク管理の視点から適切な与信判断を行いましょう。現地の信用調査機関と連携し、ビジネス慣習や企業文化に詳しい専門家の助言を受けることで、信頼性の高い情報を得ることができます。


効率的な与信管理の進め方

与信管理を効率的に進めるには、最新のツールやシステムを活用することが不可欠です。

ここでは、効率的に与信管理を行うための重要なポイントを紹介します。


与信管理システムの活用

与信管理システムは、取引先の信用度や売掛金残高を効果的に管理するためのツールです。システムの導入によって、リスクの自動評価や与信限度額の計算が迅速に行えるようになり、反社会的勢力との取引防止にも役立ちます。


主な機能

  • 取引先情報の自動収集: 企業サイトや調査会社の情報、官報、SNSなどから与信情報を自動で収集します。
  • 情報の蓄積と一元管理: 収集した情報をシステム内に蓄積し、必要な時に即座にアクセスすることが可能です。
  • 取引先の格付け(スコアリング): 公開データや収集した取引先情報を基に格付けを行い、信用度を可視化します。
  • モニタリングとアラート: 取引先をモニタリングし、リスク発生時に通知します。

その他の機能

  • 独自データベースの提供: 精度の高い調査が可能になります。
  • 反社会的勢力チェック: 信頼性の高いチェックが行えます。
  • 与信限度額の算出: 信用格付けと月商をもとに、取引上限を設定します。

与信管理システムを活用することで、企業はリスクを低減しつつ、健全なビジネスを効率的に展開できます。


「ニューロウォッチャー」のメリット

「ニューロウォッチャー」は、与信管理や取引審査を担当する部門に広く利用されているクラウドサービスです。AI技術を活用して、取引先の信用情報をリアルタイムで収集・分析し、9段階の格付けを提供します。

格付けの際には、金融機関の融資審査ノウハウをベースに取引先の信用リスクを詳細に評価可能です。また、格付けに基づく与信限度額の算出や、取引先情報が更新された際に即座に通知される機能も備わっています。これにより、企業はリスクを早期に察知し、迅速に対応できます。

「ニューロウォッチャー」を導入すれば、与信管理の一元化が図られ、多くの取引先を持つ企業にとって強力なリスク管理ツールになるでしょう。


まとめ|「ニューロウォッチャー」で実現する効率的な与信管理

与信管理は、企業が取引先の信用リスクを適切に評価し、リスクを最小限に抑えるための重要なプロセスです。

「ニューロウォッチャー」のような先進的なシステムを活用し、効率的かつ正確な管理ができれば、企業の健全な経営基盤の構築ができます。リスク管理の強化と経費削減を同時に実現し、長期的な成長を支える基盤を整えましょう。

サンプル申し込み・お申し込み
サンプル申し込みはニューロウォッチャーで出力可能なPDFファイル
「総合判定表(信用格付・企業情報・財務情報)」のサンプル企業のダウンロードURLをご案内します。
また、こちらからニューロウォッチャーのご利用申し込みもできます。