社長メッセージ

株主・投資家の皆様へ

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境が改善するなど緩やかな回復基調となりました。景気の先行きについては、物価上昇の継続による消費者マインドの悪化や、米国の今後の政策動向などにより、依然として不透明な状況が続いております。

当社グループが属します情報サービス産業におきましては、地方公共団体の基幹業務システム標準化推進や、老朽化が懸念される民間企業の基幹システム刷新、さらに官民を問わず、生成AIの活用をはじめとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の更なる加速が期待されております。また、組織を標的としたサイバー攻撃による被害が増加しており、自社の防衛策のみならず関係する外部組織も含めたセキュリティ対策の重要性が高まっており、今後も中長期的に市場規模の拡大が継続するものとみられます。

このような経営環境の下、当社グループの第一期中期経営計画の最終年度となる当連結会計年度におきましては、ソフトウエア開発をはじめとする大型案件の確実な遂行、「さいたまiDC」による情報処理サービスやインフラ・セキュリティビジネスの拡大、およびSDGs推進による社会課題の解決に向けたDXソリューションの販売強化等に注力してまいりました。

事業戦略面では、自治体システムの標準化対応やホストコンピュータを使用した顧客システムの移行を推進するとともに、「SaaS型 標的型攻撃メール対応訓練サービス」に、生成AIを活用して訓練用文例を自動作成する機能の追加や、ランサムウェア対策としてデータを強固に保護する「プロテクトバックアップストレージサービス」の提供開始、さらにサイバーセキュリティ業界の活性化と社会課題の解決を目的とした「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」に参画し、情報セキュリティに関連するビジネスの強化を図ってまいりました。あわせて、「パブリッククラウド運用支援サービス」や「マルチクラウド接続サービス」の提供を開始し、クラウドビジネスの強化に努めてまいりました。

組織体制面では、5年後・10年後を見据えた事業方針や、中長期的な経営方針を戦略的に推進すべく「経営戦略室」を新設し、2025年度を初年度とする第二期中期経営計画の策定に取り組みました。また、IT・DXコンサルティングに長けた人材を当社に集約し、経営資源の最大活用を図るため、2025年4月1日付で当社100%出資の連結子会社である「AGSシステムアドバイザリー株式会社」を当社に吸収合併し、同日付で当社に「コンサルティング部」を新設いたしました。

さらに、当社グループは、「AGSグループ健康経営宣言」のもと、メンタルヘルス対策、ヘルスリテラシー向上、エンゲージメント強化、ワークライフバランス推進などに取り組み、社員の自発的な健康活動を実践してまいりました。あわせて、健康経営をより確実に推進するため「健康経営戦略マップ」を策定し、健保組合や健康相談室との連携を強化いたしました。これらの取り組みが認められ、経済産業省と日本健康会議が共同で選出する「健康経営優良法人 2025(大規模法人部門)」に8年連続で認定されました。

社会貢献活動では、さいたま市との共催イベントとして「夏の自然観察・環境学習会」や、埼玉県営狭山稲荷山公園にて「AGSグループ植栽活動」を実施いたしました。あわせて、「NPO法人フードバンク埼玉」および「埼玉県社会福祉協議会」への食品寄贈などにより、持続可能な地域社会の実現に向けた課題の解決や、地域社会の発展に寄与する活動に取り組んでまいりました。

当連結会計年度の経営成績につきましては、ソフトウエア開発をはじめとする全てのセグメントが堅調に推移したことから、売上高は24,862百万円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。

利益面では、売上高の増加及び生産性や利益率の向上などにより、営業利益は1,849百万円(前連結会計年度比45.4%増)、経常利益は1,900百万円(同47.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,379百万円(同47.3%増)となりました。

今後も、企業理念に掲げているとおり社員一人ひとりがスペシャリストとして誇りと責任を持って行動し、柔軟な発想と最先端の技術を提供することで、お客様のビジネスパートナーとなることを目指します。さらに先進的なITソリューションの提供を通じて、豊かな社会の実現に貢献していく所存であります。

皆様におかれましては、引き続き変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

    

AGS株式会社 代表取締役社長
中野 真治