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ニューノーマルな働き方の実現へビジネスにおける押印作業電子化の進め方

 政府は、約 1 万 5 千ある行政手続きの 99%について、認印の押印を廃止する方針を打ち出しました。企業においてもテレワークの阻害要因となる押印作業を見直し、業務改善や業務効率化を図るなど、ニューノーマルな働き方の実現が必要となってきています。

ニューノーマルな働き方の実現

脱ハンコに向けて企業が取り組むことは

  「脱ハンコ」に向けて企業がまず取り組むことは、社内における"押印作業"の洗い出しです。今まで当たり前に行っていた押印作業も「いつ、だれが、どの文書に、何の目的で、どの印章を押印しているか」を改めて整理をすると、その必要性が明確になります。
 押印作業の洗い出しが完了したら、次に押印対象の文書を分類し、まず社内利用に限られる文書は、慣習的な押印作業の廃止や代替となる方法を検討していきます。

押印作業の代替策の例
▲押印作業の代替策の例
 代替策としてハンコの電子化を検討する場合は、①誰が押したか(本人性の確認)②その電子データが改ざんされていないか(原本性の確認)が重要なポイントとなります。(右図参照)
 一方、対外的な文書については、ビジネスにおいて押印が信頼性を示す役割を果たしているため、自社の判断だけでは廃止することが難しい状況です。
 そこで総務省は、組織が発行する電子文書の信頼性を確保する制度として「e シール」の検討を開始しています。
 「e シール」とは、組織名の電子証明書で企業の角印(会社印)の電子版に相当するものです。データ発行元の組織が簡単に確認できるようになるため、押印作業や紙文書の削減効果、業務の効率化が期待されます。
 また、契約印押印の代替策としては「電子契約サービス」が挙げられます。国内の電子契約サービスの市場規模は飛躍的に増大しており、サービスによっては契約締結だけでなく、注文書や検収書など、当事者による承諾の証を残す手段として活用することもできるため、今後ますます普及が進むことが予想されています。
 日本特有の押印文化が廃れてしまうことは寂しいことですが、未だ収束の目処が立たないコロナ禍において、ビジネスにおける押印作業の電子化は避けられない状況です。国にも企業にも、スピーディーな対応が求められています。