AGS通信

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人工知能は人類の脅威か、救世主か?

 18 世紀に起きた産業革命により、肉体労働が機械にとって代わられ、21 世紀に起きたIT 革命により、単純作業や事務作業がコンピューターにとって代わられるようになりました。
 そして今すでに、人間に残された最後の砦である高度な頭脳労働の一部が、ロボットに奪われ始めています。2045 年には人工知能が人類を超える「シンギュラリティ(技術的特異点:技術が急速に進化し、それによって人間の生活が後戻りできないほど変わってしまう時点のこと)」を迎えるとの予測も出されており、我々が想像もできないような時代へと 突入するのかもしれません。予言されたシンギュラリティの到来まであと30 年。人工知能は今、どの段階まで成長しているのでしょうか。
 自ら効率性を考えて働く Amazon の倉庫ロボット
 世界的企業Amazon は、2014 年、10 ヵ所の倉庫で約15,000 体のロボットを導入したことを公表。
 「自律型ネットワークロボット」と呼ばれるこのロボットは、商品が置いてある場所と運ぶ場所を指定すると、目的の商品がある棚の下に潜りこみ、棚ごと商品を移動させます。効率の良い運搬ルートをロボットたちが自ら考え、充電も適切なタイミングを見計らって実行します。
 商品が棚ごと梱包者の元へやってくるこの画期的な仕組みにより、人気のある商品の棚は手前に、あまり出ない商品の棚は奥にと配置され、作業効率は2 ~4倍になったといいます。
ロボットイメージ
▲ロボットたちは自ら考え、効率化を実現する
 強いだけではなく、適度に負けてくれる将棋ロボットの実現に向けて
 2013 年にプロ棋士と人工知能プログラム(将棋AI)がペアを組んで争う「電王戦タッグマッチ」が行われ話題となりました。
 将棋AI は過去の様々な対局記録の大規模データベースの中から、対局中の局面に似た棋譜を探し出し、次にどんな手を打つべきか約5,000 万の手数の中から計算します。プロ棋士はAI が薦める手をヒントにしながら戦い、勝負は混戦を極めました。しかし最終的に勝負を分けたのは、AI の予測ではなくプロが自らのひらめきを信じて打った手でした。
 将棋AI の今後の課題は、相手の強さに合わせて適度に競い、時には負けてくれたりもする「接待将棋」の実現だといいます。これにより子どもや初心者への将棋の指導などへの活用が期待されています。
将棋イメージ
▲将棋AIから指導を受ける時代に向けて
 人工知能が労働人口減少の救世主となる可能性も
 人工知能の目覚ましい成長により、人間の仕事がロボットに奪われる可能性が高まることに警鐘を鳴らす人も少なくありません。しかし、少子化により労働人口の減少が懸念される日本ではむしろ、人工知能が救世主となる可能性もあります。過疎地でロボット教師やロボット医師が活躍したり、介護ロボットが生活のお世話だけでなく会話や将棋の相手までしてくれたり といった未来が到来するのもそう遠くないのかもしれません。