AGS通信

表紙の埼玉百景
▲花曇りの権現堂堤。2014 年の幸手桜まつりは3/26 ~4/10 の開催でした。
幸手市・権現堂堤
(埼玉県幸手市)
■東武日光線 幸手駅より
 徒歩 30 分(バス 15 分)
■東北自動車道久喜IC下車約 20 分
関東地方でも有数の桜の名所
 桜の名所として知られる権現堂堤は、1576 年(天正 4 年)頃に築かれたといわれています。利根川の支流である中川の堤防上を約1kmにわたって約 1000 本の桜並木が続き、桜の開花と同時期には堤下に広がるアブラナも咲くため、ピンクと黄色の美しいコントラストが広がります。毎年 3 月下旬から 4 月上旬には桜まつりが開催され、夜にはライトアップされた桜を楽しむことができます。
 また、桜だけでなく四季折々のお花見を楽しむことができ、 6 月上旬から 7 月中旬には 100 種約 15000 株のアジサイが、 9 月中旬~ 10 月中旬には約 100 万本の曼珠沙華が見頃を迎えます。
 権現堂堤が桜のお花見スポットとして紹介され始めたのはなんと大正時代。終戦頃に燃料として伐採されてしまったこともありましたが、公共団体や地域の人々による植栽や保存活動でよみがえり、愛され続けています。今はNPOの保存会の方々によって桜並木の風景を残す活動が行われています。
桜の下に眠る悲しい歴史
 今でこそ人々の憩いの場所として親しまれている権現堂堤ですが、かつては中川が決壊を繰り返し、幾度も水害の被害にあっていました。修理しても一夜のうちに決壊してしまうという有様に、「竜神のたたりかもしれない」として通りすがりの順礼母娘が人身御供に立てられたという悲話も残されています。
 日本神話にも「薩手(さって)」として名前が出てくる幸手の歴史は古く、江戸時代には将軍が日光東照宮へ参拝する際の「日光御成街道」など、複数の主要な街道が交差する宿場町として繁栄しました。
 近年ではその面影を残す古民家や文化財を紹介するガイドマップなども作られ、「歴史を感じるまち」としての新たな魅力を発信しています。