AGS通信

TOPICS
農業ICTで、
TPPによる競争激化に対抗

 日本の農業は今、TPP(環太平洋経済協定)をきっかけに、大転換を迫られています。ただでさえ、従事者の高齢化が進み、後継者不足に悩まされている日本の農業。TPPで、農産品の関税撤廃が決まれば、海外とのさらなる過酷な競争にさらされることになります。
 安倍首相は「攻めの農業」を成長戦略の柱の一つと位置付け、生産性・収益力を向上させるための施策を打ち出し、「強い農業」をつくるための改革に乗り出しました。
 実際に、政府は農地の貸借を仲介する「農地中間管理機構(農地集積バンク)」を、2014年3月から各都道府県に順次設置し、農地の集約大規模化により、農業の効率化、収益力アップに向けて動き始めました。
 高効率、高収益に欠かせない農業ICT
 農業の効率化、収益力アップに欠かせないのが、ICTの利活用です。近年、農作業ロボットの活用や直売所のPOSシステム導入など、着々とICT化が進んできています。
 農業ICT市場の規模は、2020年には600億円規模(2013年比で約9倍)に伸びるとも試算されています。 
 なかでも、高収益化の切り札として大きな成長が見込まれるのが「農業クラウド」の分野です。同じ試算によれば、農業クラウドの市場は、2020年には440億円規模(2013年比で約23倍)になると予想されています。


※引用元:農業IT化市場規模予測(シード・プランニング社)
農業ICT活用による実績事例
SaaSを活用しつつ、実証実験での人的交流や取り組みを通じて果樹試験場やベテランのノウハウ・知見を吸収し、栽培手法を改善。意識やワークスタイルの変革も生まれた。
総じて、ブランドみかんの生産量も約2倍に向上。組織力の向上に手ごたえが生まれてきている。
田植え作業の工程別分析を行い、作業プロセスを改善。
補植時間(手植時間)が約2割短縮!
 高収益化の切り札は、「農業クラウド」
■農業クラウドとは?
 生産地から消費者に商品が届くまでの農業に関わる活動全般を、クラウドサービスで支援するものです。
 利用者数や使用データ量などに応じて料金が決まるクラウドサービスは、日本で多数を占める小規模農場で利活用するメリットが大きいと考えられています。
 農業ICT活用が拓く、日本農業の未来
 TPPにより、大きな打撃が見込まれる日本の農業。しかし、これを「農業の効率化・高収益化を促すチャンス」と見ることもできます。高品質で海外の富裕層にもアピール可能な日本の農産物は、多大な可能性を秘めています。クラウドをはじめとする農業ICTの活用次第で、日本の農業は大きく変わることでしょう。