コラム
サプライチェーンリスクの脅威
対策方法と有効なソリューションを紹介

企業のグローバル化や外部委託の拡大により、サプライチェーンを巡るリスクが深刻化しています。特に、取引先からの情報流出や不正アクセスなどの「サプライチェーンリスク」は、一社の被害が全体に波及し、製造やサービスが停止する恐れもあるため、企業規模を問わずリスク管理が不可欠です。
本記事では、サプライチェーンリスクの概要から主な攻撃手法、実務で有効な対策方法、AGSが提供するソリューションまで包括的に解説します。
目次
サプライチェーンリスクとは

サプライチェーンリスクとは、取引先や委託先のトラブルが自社の経営に影響を及ぼすリスクです。自然災害による供給網の寸断だけでなく、サイバー攻撃や情報漏えいなど、デジタル面の脅威も増加しています。
ここでは、「物理的なサプライチェーンリスク」と「情報セキュリティに起因するサプライチェーンリスク」の2つのリスクについて解説します。
物理的なサプライチェーンリスク
物理的なサプライチェーンリスクとは、自然災害・事故・地政学的要因などにより、供給網が途絶するリスクです。
2011年の東日本大震災では、部品メーカーの被災により完成車メーカーが世界規模で生産停止に追い込まれました。2021年のスエズ運河座礁事故では物流が滞り、多くの製造業が原材料調達に支障をきたしています。また、ウクライナ情勢による半導体材料の供給逼迫、新型コロナウイルスによる工場の操業停止など、地政学的リスクや感染症も深刻な影響を及ぼしました。
企業はこうした事態を想定し、複数のサプライヤー確保や在庫分散といった事業継続計画(BCP)の整備が必要です。リスク評価ツールを活用することで、被害を最小限に抑えられます。
情報セキュリティに起因するサプライチェーンリスク
情報セキュリティに起因するサプライチェーンリスクとは、取引先や委託先のシステムがサイバー攻撃を受け、自社にまで被害が及ぶリスクを指します。
2020年のSolarWinds事件は、サプライチェーン攻撃の脅威を世界に知らしめた象徴的な事件です。ネットワーク監視ソフトの正規アップデートを悪用し、18,000以上の組織にバックドアが仕込まれ、サイバーセキュリティ史上最大規模の攻撃の一つとなりました。国内では大手通信事業者の委託先から約900万件の顧客情報が流出した事例もあります。2021年には米国食肉加工大手JBS社がランサムウェア攻撃を受け、食肉供給網全体に影響が及びました。
攻撃手口は年々巧妙化しており、企業は取引先を含めた統一的なセキュリティポリシーの整備と、ゼロトラストに基づくアクセス制御が必要です。取引先へのセキュリティ教育や定期監査、多層的な防御体制の構築が求められます。
サプライチェーンリスクにつながる攻撃の種類

サプライチェーンリスクにつながる攻撃には、代表的なものとして以下の3つがあります。
- ビジネスサプライチェーン攻撃:取引先を装った偽メールや請求書で情報を詐取する手口です。
- サービスサプライチェーン攻撃:クラウドサービスや保守ベンダーを経由した不正アクセスで、特権アカウントの不正利用による被害が増加しています。
- ソフトウェアサプライチェーン攻撃:開発段階でマルウェアが仕込まれるケースで、国内外で深刻な被害が報告されています。
詳しくは「サプライチェーン攻撃の実際の被害は?最新動向や対策方法も解説」をご覧ください。

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サプライチェーンリスクへの対策方法

企業はサプライチェーンリスクに対し、「契約」「運用」「技術」の三方向から、総合的かつ継続的に対策を行う必要があります。いずれか一面だけの取り組みでは、想定外のリスクが残る可能性があるため注意が必要です。
ここでは、これら三つの視点を踏まえたうえで、実務上特に重要となる4つの観点について紹介します。
セキュリティ対策
企業が最も重要視すべきは、サプライチェーン全体で統一されたセキュリティ対策を徹底することです。委託先企業から情報が流出するリスクを最小限に抑えるためには、アクセス権限の最小化、暗号化通信の徹底、EDR(Endpoint Detection and Response)などの導入が有効となります。
加えて、委託先業者や関連企業にも自社のセキュリティポリシーを共有し、定期的な教育や遵守状況の確認を行うことで、サプライチェーン全体のセキュリティ水準を向上させることができます。
また、企業は脆弱性診断や侵入テストを定期的に実施し、潜在的なリスクを早期に特定して対策を講じることも欠かせません。こうした多層防御の仕組みを構築することで、外部委託に伴うセキュリティリスクを大幅に軽減できます。
コンプライアンスの強化
サプライチェーンは国境をまたぐ取引が多く、企業は各国・地域の法制度や規制を理解したうえでの対応が必要です。GDPRやNISTといった国際的なセキュリティ基準への準拠はもちろん、現地の文化や商習慣への配慮も求められます。
さらに、個人情報保護法や下請法、輸出管理規制など、関連法令を遵守するための社内ルールを整備し、従業員や協力会社への教育を継続的に実施することが重要です。
また、ISO/IEC 27001などの第三者認証を取得することで、取引先に対してコンプライアンス体制の信頼性を示せます。企業はこれらを通じて、サプライチェーン全体で透明性と説明責任を確保し、法的・倫理的なリスクを抑制する必要があります。
関連企業のリスク評価
企業は取引先や委託先のセキュリティ対策状況を正確に把握し、リスクを可視化することで、サプライチェーン全体の安全性を高められます。
特に、重要情報を扱う企業や基幹システムに接続するベンダーに対しては、定期的なセキュリティ診断やアンケート調査によるリスク評価を実施することが重要です。
評価項目にアクセス管理・データ保護・インシデント対応体制などを含め、定量的にスコア化することで、客観的な比較が可能になります。
さらに、リスクの高い取引先には改善計画の提出を求め、進捗をモニタリングする仕組みを設けることで、継続的なセキュリティレベルの向上を図れます。企業はこうした予防型管理により、リスクを事前に察知し、被害発生前に防御策を講じることが可能です。
セキュリティ契約の締結
サプライチェーンにおけるセキュリティ事故では、責任の所在が曖昧なまま初動が遅れ、被害が拡大するケースが少なくありません。そのため、企業は契約段階で各社の責任範囲や報告義務、再発防止措置の対応方針を明確に定めておくことが重要です。
たとえば、秘密保持契約(NDA)や個人情報取扱契約に加えて、情報漏えい発生時の報告期限、再発防止策の提出義務、第三者機関による監査の受入可否などを具体的に盛り込むと、実効性が高まります。
また、企業は契約内容を形式的に締結するだけでなく、運用段階で定期的に見直しを行い、業務範囲の変化や法改正に対応することも欠かせません。これにより、契約が実際のセキュリティガバナンスとして機能し、リスクを長期的に抑制できます。
サプライチェーンリスクに有効なソリューション
企業はサプライチェーンリスクを軽減するために、属人的な管理ではなく、ツールを活用した「リスクの可視化」と「継続的監視」を実現する必要があります。ここでは、AGSが提供する代表的なソリューションを紹介します。
サプライチェーンリスクマネジメント
AGSが提供する「サプライヤー・マネジメント・クラウド」は、委託先や取引先のリスク情報をクラウド上で一元管理できるサービスです。
委託先情報を一元管理することができ、調査・収集したリスク情報を可視化することができます。蓄積した情報は監査や自己点検の証憑にも活用できます。
これにより、属人的な管理から脱却し、サプライチェーン全体で統合的なセキュリティ管理を実現します。
EDRなどのセキュリティ対策ソフト
サプライチェーンリスク対策の要となるのが、EDR(Endpoint Detection and Response)です。EDRはエンドポイント上での不審な挙動を常時監視し、マルウェア感染や不正アクセスを早期に検知して、被害の拡大を防止します。
AGSでは、「Cybereason」や「CrowdStrike Falcon」など、企業の規模や環境に合わせた複数のソリューションを提供しています。企業はこれらを導入することで、委託先を経由した感染拡大リスクを早期に検知し、迅速に封じ込めることが可能です。
詳細は「EDRとは?セキュリティ対策の要となる技術の基本と導入メリット」をご参照ください。
まとめ

サプライチェーンリスクは、もはや一企業だけの問題ではなく、取引先や委託先を含むネットワーク全体で対応すべき経営課題です。企業は物理的・情報セキュリティの両面から包括的に対策を講じ、定期的なリスク可視化と改善サイクルを回すことで、被害を未然に防ぐことが可能になります。
AGSでは、「サプライヤー・マネジメント・クラウド」をはじめ、EDRなど多層的なセキュリティソリューションを組み合わせ、企業のリスク管理体制を強化する支援を行っています。
サプライチェーン全体の安全性を高め、事業継続性と信頼性を両立させるために、今こそリスクマネジメントの再構築が求められます。まずはAGSへご相談ください。

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