社長メッセージ

株主・投資家の皆様へ

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国経済は、コロナ禍による行動制限が緩和され、徐々に社会経済活動の正常化が進みました。景気の先行きについては、ロシア·ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料やエネルギー価格の高騰、および世界的な金融の引き締めを背景とした景気後退懸念などにより、依然として不透明な状況が続くものと予想されております。

当社グループが属します情報サービス産業におきましては、デジタル庁を中心としたデジタル社会の実現に向けた行政サービス(デジタル・ガバメント)の展開や、民間企業でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の更なる加速が期待されております。また、ランサムウェアなどサイバー攻撃による被害が増加し、自社の防衛策のみならず関係する外部組織も含めたセキュリティ対策の重要性が高まっており、今後も中長期的に市場規模の拡大が継続するものとみられます。

このような経営環境のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染防止策を徹底した上で安定したサービスの提供を継続するとともに、ソフトウエア開発をはじめとする大型案件の確実な遂行、「さいたまiDC」や、インフラ・セキュリティビジネスの拡大、およびSDGs推進による社会課題の解決に向けたDXソリューションの販売強化などに注力してまいりました。

事業戦略面では、ALSOK社との業務提携に基づき、納税者の利便性を確保すべく、自治体向け「派出システム」のサービス提供を開始するとともに、埼玉県との「自治体向けビジネスチャット利用推進に関する協定」の締結など、自治体業務のデジタル化・効率化の推進を支援してまいりました。また、当社グループは、幅広い分野で培った豊富な経験とノウハウをもとに、DX戦略策定からITによる経営課題の解決まで最適なソリューションを提供しており、これらのDX推進に係る事業が認められ、埼玉県内中小企業のDX促進を支援する「埼玉DXパートナー」に認定登録されました。あわせて、当社社内においても、新デジタル技術の研究・活用推進、DX人材育成、社内業務のRPA化、電子請求書・電子契約サービスの導入などによる業務効率化・生産性向上を推進しており、経済産業省が定める「DX認定事業者」の認定取得に至りました。

組織体制面では、政府が「地方公共団体情報システム標準化基本方針」に基づき2025年度末を目標として取り組んでいる、自治体システムの標準化、およびガバメントクラウドへの移行に関し、当社のお客様である自治体の移行対応を確実なものとするための専任部署として、「自治体システム標準化推進室」を新設いたしました。また、お客様や社会へ貢献するとともに、自身の成長や働きがいを感じることができる会社を目指し、当社およびお客様の持続的な成長の実現に向けた人材を育成すべく、経営戦略と連動した「人事戦略」を策定いたしました。

社会貢献活動では、文部科学省の「マイスター・ハイスクール事業」に指定校として選出された埼玉県立大宮工業高等学校における「マイスター・ハイスクールCEO」としての当社社員の活動、中学生と地元企業のコラボで地域を探究する産学連携プロジェクト「さいたまエンジン」へ参画、さらには、さいたま市環境局への風力・太陽光発電装置や、NPO法人フードバンク埼玉への食品の寄贈などにより、持続可能な地域社会の実現に向けた課題の解決、および地域社会の発展に寄与する活動に取り組んでまいりました。

当連結会計年度の業績につきましては、情報処理サービスが堅調であった一方、他のセグメントの減収により、売上高は21,066百万円(前連結会計年度比0.6%減)となりました。

利益面では、売上高の減少や、情報処理サービスにおける電気料金や原材料費高騰の影響、およびその他情報サービスの利益率の低下などにより、営業利益は873百万円(前連結会計年度比7.9%減)、経常利益は910百万円(同7.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益の計上などにより682百万円(同6.9%増)となりました。

今後も、企業理念に掲げているとおり社員一人ひとりがスペシャリストとして誇りと責任を持って行動し、柔軟な発想と最先端の技術を提供することで、お客様のビジネスパートナーとなることを目指します。さらに先進的なITソリューションの提供を通じて、豊かな社会の実現に貢献していく所存であります。

皆様におかれましては、引き続き変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

    

AGS株式会社 代表取締役社長
中野 真治